「BRC-20トークン」を初心者にもわかりやすく一問一答で解説!
Q. BRC-20って何?
BRC-20はビットコインのブロックチェーン上でトークンの発行と転送を容易にできる規格です。ビットコインのネットワークでトークンの発行が簡単にできることから、その誕生以来多くのトークンが生み出されています。
BRC-20は今年3月にDomo氏というエンジニアによって考案されました。ちなみにBRCは「Bitcoin Request for Comment」を略したものです。
Q. BRC-20はどんな技術を使っている?
BRC-20はOrdinalというプロトコルを利用しています。Ordinalは元々ビットコインによるNFTを実現するために生み出されたプロトコルです。
同じ価値のビットコインは他の同じ価値のビットコインとの差異がなくNFTにはなり得ませんが、ビットコインのブロックチェーンに画像やテキストなどのデータを記録することでNFTを作り出すというのがこのプロトコルの特徴です。
もともとNFTを生み出すはずだったプロトコルをベースに、(NFTではない)様々なトークンを簡単に生み出せるようにしたのがBRC-20と言えるでしょう。
BRC-20で作られたトークンはコントラクトを自動で履行する「スマートコントラクト」は使用せず、ビットコインのネットワークにJSONファイルを保存することでユーザー間の取引が可能になっています。JSONは暗号資産やブロックチェーンに関係なく広く使われている構造化データを保存するためのファイル形式で、スマートコントラクトほど複雑な条件を実行できません。
Q. BRC-20でどれぐらいコインが作られている?
BRC-20はビットコインのブロックチェーン上で簡単にトークンが作れてしまう技術であったために、とてつもない量の種類のトークンが生み出されました。
BRC-20.ioによれば5月13日の段階で、1万4千種類を超えるトークンがあり、それらのコインを全て合わせた時価総額は5.3億ドル(およそ700億円)。同時点での24時間取引高は2 億ドル(およそ270億円)でした。
Q. BRC-20で注目すべきコインは?
BRC-20で作られたコインで時価総額・流動性(24時間取引量)でトップなのはOrdinals(ORDI)というコインです。BRC-20.ioによれば5月13日時点で時価総額は3.3億ドル(およそ450億円)、24時間取引量は2億ドル(およそ270億円)でした。
13日の時点では、BRC-20で作られたコインの時価総額と24時間取引量のほとんどをORDIが占めています。インターネットミームを起源とするmemeコインが次々とBRC-20によって作られていますが、ORDIほどの時価総額や取引量には遠く及ばない状況です。取引所のBRC-20への対応が進めば他のコインも上場を果たし、状況は変わっていくかもしれません。
Q. BRC-20が暗号資産マーケット全体に及ぼしている影響は?
BRC-20の影響はもはやBRC-20によって生み出されたトークンにとどまりません。
BRC-20が登場してから、ビットコインブロックチェーン上のBRC-20取引数が通常のBTC取引を上回る事態が何度か発生しています。BRC-20が生み出したコインがビットコインのネットワークを混雑させており、ビットコイン送金手数料は過去2年で最高値を記録しました。送金が詰まってしまい、一部の取引所がビットコインの送金を一時停止したというニュースを見た人は少なくないでしょう。
手数料の高騰に対しては様々な意見があります。手数料が上がればビットコインのセキュリティの堅牢性を守るマイナーにインセンティブをもたらす一方で、それ以外のビットコインを利用するユーザーはその分のコストを負担しなければなりません。いずれにせよBRC-20がもたらした手数料高騰はビットコインの取引環境に大きな影響をもたらしています。
Q. 今後の展開は?
BRC-20の後継版であるBRC-21の開発がすでに進められています。開発が実現すればビットコイン以外のブロックチェーンで作られたトークンをビットコインのブロックチェーンでも発行可能になるとのことです。
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